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親が亡くなったあとは、スマホやアカウントといったデジタル遺品の整理と、お墓の今後のことが、同じ時期に気になり始めます。
結論からお伝えすると、葬儀や役所の手続きが落ち着いたら、デジタル遺品のうち続いている支払いの確認を先に片づけ、墓じまいは親族の話し合いから始めます。どちらも、急いで全部を終わらせる必要はありません。
この記事でわかること
- デジタル遺品整理と墓じまい、それぞれの性質や期限の違い
- 何から手をつければいいか、時系列で見るロードマップ
- 墓じまいの基本的な流れと費用の考え方
- 両方を進める上で後悔しないための考え方
デジタル遺品整理と墓じまい、なぜ同時に考える必要があるのか
今日やるべきことは、実はそれほど多くありません。
親が亡くなった後、多くの方が直面するのが「やらなければいけないことが多すぎて、何から手をつけていいかわからない」という状態です。
中でもデジタル遺品整理とお墓の今後(墓じまいを含む)は、性質がまったく違うにもかかわらず、同じタイミングで頭を悩ませることになりがちなテーマです。
なお、この記事は主に「親が亡くなった後」を想定して書いていますが、生前から準備できることも多くあります。まだ間に合う方は「親が元気なうちに聞いておくべきデジタル情報リスト」も先に読んでおくと、この記事の内容がぐっと進めやすくなります。
デジタル遺品整理については「デジタル遺品整理とは?親が亡くなったら最初にやること」で全体像を、墓の今後については、この記事でロードマップとして整理していきます。
どちらも「今すぐ全部終わらせなければいけない」ものではありませんが、放置すると後で困る性質を持っている点は共通しています。この記事では、2つを同時に抱えて途方に暮れないよう、優先順位の付け方を整理します。
大前提:この2つは「性質」も「期限」も違う
まず知っておいてほしいのは、デジタル遺品整理と墓じまいは、緊急性も進め方もまったく別物だということです。混同して同時に全部進めようとすると、かえって疲弊してしまいます。
デジタル遺品整理は、一部の支払い停止など早めに動いたほうがいいものもありますが、多くの作業・手続きは「落ち着いてから」で問題ありません。
一方、墓じまいはお墓自体は急ぐ必要がない一方、いったん動き出すと親族間の合意形成や寺院とのやり取りなど、人間関係が絡む調整に時間がかかる性質を持っています。
どちらも「急いで雑に進める」より「必要な順番で、着実に進める」方が結果的にトラブルを避けられます。
| 比較項目 | デジタル遺品整理 | 墓じまい |
|---|---|---|
| 緊急度 | 一部だけ早めに(サブスクの支払いなど)。多くは落ち着いてから | 低い(焦る必要はない) |
| 主に関わる人 | 本人(遺族)だけで完結しやすい | 親族全員・寺院・行政など関係者が多い |
| 主な費用感 | 自分で進めればほとんどかからない(業者に頼む場合は別途) | お墓や新しい供養先によって大きく変わる |
| 特に注意したい落とし穴 | スマホの回線契約やアカウントのロック | 親族間の合意形成、指定石材店制度 |
スマホの「回線契約」は、急いで解約しないほうが安心です
具体的なロードマップに入る前に、一つだけ先にお伝えしておきたいことがあります。
故人のスマホの「回線契約」は、デジタル遺品整理がひととおり終わるまで残しておくと安心です。
銀行・証券口座や各種サブスクの多くは、電話番号宛のSMSを使った本人確認(2段階認証)でログインする仕組みになっています。
回線を先に解約してしまうと、この確認コードが受け取れなくなり、口座やアカウントにログインできなくなることがあります。回線をしばらく残す場合は、携帯電話会社に、支払いをどうするかを相談しておきましょう。
一方で、支払いを止めるだけなら、回線を解約しなくてもできます。カード会社に名義人が亡くなったことを伝えてカードを止めたり、金融機関に伝えて口座が凍結されたりすると、引き落としは止まります。口座が止まったあとの預金の手続きは、親の銀行口座が凍結されたら?にまとめています。
ただし、支払いが止まっても契約そのものは残るため、サブスクの解約の連絡は別に必要です。くわしくは親が残したサブスクを確認・解約する方法にまとめています。
ワンポイント:回線をしばらく残す場合は、携帯電話会社に契約者が亡くなったことを伝え、家族が契約を引き継ぐ「承継」をするか、支払いをどうするかを相談しておくと安心です。
故人名義の口座は凍結されると引き落としができなくなり、結果的に回線が止まってしまうことがあります。必要な書類は親の携帯を解約するのに必要な書類一覧にまとめています。
【ロードマップ】何から手をつければいいか
全体の流れとしては、葬儀や役所の手続きを済ませたあと、デジタル遺品整理の中でも支払いの確認など急ぎのものを先に片付け、墓じまいは「検討を始める」段階から着手するのが現実的です。

直後〜1週間:葬儀・役所の手続きを優先
この段階では、墓じまいのことを考える余裕はなくて当然です。まずは死亡届や葬儀など、期限のある手続きを優先してください。
デジタル関係でこの時期にやっておきたいのは、スマホの電源を切らずに充電しておくことと、支払いが続いているものがないかの確認くらいです(スマホの回線契約は、まだ解約しなくて大丈夫です)。
全体の順番は親の死後にやること全リスト、デジタル遺品整理の具体的な手順はデジタル遺品整理とは?親が亡くなったら最初にやることにまとめています。
数週間〜1ヶ月:墓じまいは「検討」からスタート
この時期になったら、墓じまいについては「決断」ではなく「検討」から始めます。今のお墓を今後どうするか、家族・親族の間で話し合いの場を持つ段階です。
墓じまいは、進めた後に「他の親族が知らなかった」というトラブルになりやすいため、決める前に必ず関係者全員に相談することが欠かせません。
話を切り出すときは「お参りが大変だからやめたい」よりも、「将来、子供たちに管理の負担をかけない形にしたい」というように、次の世代への思いやりとして伝えると、感情的な反発を受けにくくなります。
決まったことや連絡先、話し合いの内容は、口約束のままにせず、ノートなどに書き残しておくことをおすすめします。後から「言った・言わない」のトラブルを防げます。
伝え方の一例:「お墓をなくしたいわけじゃなくて、私たちや子どもの代でお参りできなくなって荒れてしまうのが一番申し訳ないから、綺麗な形で永代供養にしたいと思っているんだ」
数ヶ月:デジタル遺品整理は仕上げ、墓じまいは行政手続きへ
デジタル遺品整理は、SNSアカウントの整理や写真データの家族間共有など、時間をかけて進める作業の段階に入ります。墓じまいを進めると決めた場合は、この時期から改葬許可申請などの行政手続きに入っていきます。
半年以降:それぞれのペースで着地させる
デジタル遺品整理は基本的にこの時期までに一区切りつくことが多いですが、墓じまいは寺院との調整や新しい供養先の準備に、半年以上かかることも珍しくありません。焦らず、家族の状況に合わせて進めてください。
墓じまいの基本的な流れと費用の考え方
墓じまいを検討する場合、まず全体の流れと費用感を知っておくと、話し合いがスムーズに進みます。

一般的な流れは、まず親族全員の合意を得ることから始まり、今のお墓の管理者(寺院や霊園)に連絡して証明書(お墓の場合は「埋蔵証明書」、納骨堂の場合は「収蔵証明書」と呼ばれます)を依頼します。
次に、新しい供養先(永代供養墓・納骨堂・樹木葬など)を決め、そちらからも「受入証明書」を発行してもらいます。
この2つの証明書を揃えて、市区町村に改葬許可申請書(リンク先は福岡市の例です)を提出すると改葬許可証が交付されます(必要書類や窓口は自治体ごとに異なるため、詳しくは故人の墓地がある市区町村のサイトを確認してください)。
その後、閉眼供養(お性根抜き)という儀式を行い、墓石の解体・撤去を経て、新しい供養先へ納骨するという順番になります。それぞれのステップでやることは、墓じまいの手順を7ステップでにまとめています。
なお、永代供養・納骨堂・樹木葬は並列の選択肢というより、少し性質が異なります。永代供養は「寺院や霊園が代わりに供養・管理してくれる仕組み」を指し、納骨堂や樹木葬はその「遺骨を納める場所・形式」を指します。
そのため実際には「永代供養付きの納骨堂」のように組み合わさっているケースも多くあります。お墓を持たずに、遺骨を海に還す「海洋散骨」という選び方もあります。費用や流れは海洋散骨とは?費用の決まり方・当日までの流れにまとめています。

費用面では、墓石の解体・撤去(墓石の大きさや区画の広さ、重機が入りやすい立地かどうかで変わります)や、閉眼供養のお布施などがかかります。
寺院に墓地がある場合は、離檀料が発生することもあります。ただし離檀料には、明確な基準がありません。
高額な請求をされてトラブルになるケースも報告されているため、日頃からの感謝を伝えた上で、金額については事前によく話し合うことが大切です。
寺院への伝え方の一例:「長年お世話になり、本当にありがとうございました。ただ、遠方に住んでいて今後の維持が難しく、心苦しいのですが墓じまいを検討しております」
加えて、新しい供養先の費用も必要です。永代供養墓・納骨堂・樹木葬など、選ぶ種類や運営元、地域によって大きく変わります。
既存のお墓を閉じる費用と、新しい供養先の費用を合わせたものが、墓じまいの総額になるとイメージしてください。
費用の内訳と、費用を抑えるために確認したいことは、墓じまいの費用はいくら?内訳と、費用を抑えるために確認したいことでまとめています。
墓石の解体・撤去業者を選ぶ際は、注意点が一つあります。多くの寺院墓地や民間霊園では、出入りできる石材店があらかじめ決まっている「指定石材店制度」を採用しています。
費用を抑えようと外部の業者に相見積もりを取って先に契約してしまうと、管理者とのトラブルにつながることがあるため、業者を探す前に、まず墓地の管理者に指定石材店があるかどうかを確認してください。
(PR)墓じまいの進め方を、まとめて誰かに相談したい場合は、墓じまい代行サービス|墓じまいパートナーズのような代行サービスに問い合わせてみる方法もあります。問い合わせたあとも、依頼するかどうかは家族で話し合ってから決めて大丈夫です。
改葬許可の申請など、役所の手続きの進め方は「墓じまいの手順を7ステップで【家族の話し合いから改葬許可・納骨まで】」にまとめています。まずは全体の流れと費用感を家族で共有し、進めるかどうかを話し合うところから始めてみてください。
デジタル遺品整理の基本的な流れ(詳しくは別記事へ)
デジタル遺品整理についても、簡単に流れを確認しておきます。
直後〜1週間は緊急性の高いもの(サブスクの支払い停止など)、1週間〜1ヶ月は落ち着いてから進めること(SNSアカウントの整理など)、数ヶ月かけては写真データの整理や家族間での共有といった時間をかけて進める作業、という順番です。
詳しい手順は「デジタル遺品整理とは?親が亡くなったら最初にやること」と「【チェックリスト】親のデジタル遺品 確認すべき全項目」にまとめています。
両方に共通する「後悔しないための」心構え
デジタル遺品整理も墓じまいも、進める上で共通して大切なのは「一人で抱え込まず、関係者に相談してから進める」という点です。
特に墓じまいは、後から他の親族に「知らなかった」「相談してほしかった」と言われるトラブルが少なくありません。
デジタル遺品整理も、故人の写真データなど家族で共有すべきものを独断で削除してしまうと、後で取り返しがつかなくなります。
もう一つ大切なのは、どちらも「今すぐ全部終わらせなくていい」と知っておくことです。緊急性の高いものから順番に、家族のペースで進めれば十分です。
決めたことや確認した情報は、その都度ノートに書き残しておくと、後から「何を話したか」「何が終わっていたか」を見返せて安心です。
よくある質問
- デジタル遺品整理と墓じまい、どちらを先に進めるべきですか?
-
葬儀や役所の手続きが落ち着いたら、まずはデジタル遺品整理のうち、サブスクの支払い停止など、放置すると出費が続くものを優先してください。ただしスマホの回線契約自体は、整理が終わるまで解約しないよう注意してください。墓じまいは急ぐ必要がない分、親族間の合意形成から始めることをおすすめします。
- 墓じまいは、必ずしないといけないのですか?
-
いいえ、必須ではありません。今のお墓を維持し続けるという選択肢もあります。墓じまいは「お墓を維持する人がいなくなる」「遠方で管理が難しい」といった事情がある場合に検討される選択肢の一つです。
- 親族の中に墓じまいに反対する人がいる場合は、どうすればいいですか?
-
行政手続きに進む前に、時間をかけて話し合うことが大切です。墓じまいは合意形成が最も重要な工程で、急いで進めると、後々大きなトラブルに発展することがあります。
今日から使える行動チェックリスト
読み終えたら、まずは以下だけ確認すれば十分です。
- [デジタル]クレジットカードの利用明細からサブスク(定額サービス)を洗い出す
- [デジタル]スマホの回線契約はまだ解約しない(支払いをどうするかだけ携帯会社に相談しておく)
- [墓じまい]「お墓の今後についての相談」として、まず親族に声をかけてみる
- [墓じまい]反対しそうな親族がいないか、話し合う前に頭の中で整理しておく
まとめ:焦らず、順番を決めて進める
デジタル遺品整理と墓じまいは、性質も期限もまったく違う2つのテーマです。デジタル遺品整理の緊急対応を先に片付けつつ(ただしスマホの回線契約は解約しないよう注意)、墓じまいは検討からゆっくり始める、という順番で進めれば、両方を同時に抱えて途方に暮れることは避けられます。
どちらも一人で抱え込まず、家族や親族に相談しながら、それぞれのペースで進めてください。決めたことはノートに書き残しておくと、後から振り返るときの安心材料になります。この記事が、何から手をつければいいか迷っている方の、最初の道しるべになれば幸いです。
手続きの方法や費用は変更されることがあります。最新情報は必ずお住まいの自治体や各社の公式サイトでご確認ください。

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