親のネット銀行・ネット証券を死後に見つけて相続する手順【口座の探し方と手続きの流れ】

親のネット銀行・ネット証券を死後に見つけて相続する手順【口座の探し方と手続きの流れ】

ネット銀行やネット証券は、通帳や紙の取引報告書が届かないことも多く、「親がどこに口座を持っていたのか分からない」という状態になりやすいものです。

国民生活センターにも、故人のスマホが開けず、ネット銀行の契約先が分からないという相談が寄せられています(国民生活センター 2024年11月20日)。

結論からお伝えすると、スマホが開けなくても、郵便物やカードの明細、マイナンバーを使った照会(銀行の口座)などから、口座を探す方法があります。見つかれば、相続の手続きは家族が進められます。

目次

口座は、スマホが開けなくても5つの方法で探せる

口座を探す5つの方法(郵便物とメール、通帳・カードの明細、スマホのアプリ、相続時の口座照会、ほふりへの開示請求)

① 郵便物:年間取引報告書やカードの案内を探す

ネット証券からは、年に一度「年間取引報告書」が届くことがあります。キャッシュカードやデビットカード、口座開設のときの案内の郵便物が、手がかりになることもあります。

② 通帳やカードの明細で、振り込み先の会社名を見る

クレジットカードの明細が紙で届かない場合は、ふだん使っていた銀行の通帳を見てください。ネット銀行やネット証券への振り込みや入金の記録から、会社名が分かることがあります。会社名が分かれば、その会社に問い合わせられます。

③ スマホが開けるなら、銀行・証券のアプリを探す

スマホが開けるなら、銀行や証券会社のアプリが入っていないか確認してみてください。アプリを開くには、パスワードや顔認証が必要です。開けなくても、アプリの名前で会社が分かれば、その会社の相続の窓口に連絡できます。たとえばPayPay銀行の相続受付フォームは、口座番号が分からなくても受け付けています。

④ 銀行の口座は、マイナンバーで一度に照会できる(5,060円)

2025年4月から、亡くなった方が生前に金融機関へマイナンバーを届け出ていた口座について、相続人が一度に照会できる仕組みが始まっています。

三菱UFJ銀行の案内では、亡くなってから10年以内であれば申し込めること、手数料が5,060円(税込)かかること、結果が郵送で届くことが説明されています(三菱UFJ銀行「マイナンバー制度について」)。

  • 照会できるのは預貯金の口座です。ネット証券の口座は、この照会では分かりません
  • 手数料5,060円は、預金保険機構が決めた金融機関一律の金額です。口座が見つからなかった場合でもかかります
  • 一部、照会の対象にならない金融機関があります

(出典:同じ三菱UFJ銀行のページ)

照会を申し込むと、金融機関に亡くなったことが伝わり、口座の取引が止まる場合があります。公共料金などの引き落としがある場合は、先に支払い方法を見直しておくと安心です。

⑤ ネット証券は「ほふり」に開示請求できる

ネット証券の口座は、④のマイナンバーの照会では分かりません。証券会社がどこか分からないときは、「証券保管振替機構(ほふり)」に「登録済加入者情報の開示請求」をすると、上場株式などの口座がある証券会社の一覧が分かります。銘柄や残高は分からないので、そのあと各証券会社に問い合わせます。

  • 申し込み:郵送のみ(窓口や電話では受け付けていません)
  • 書類(法定相続人の場合):開示請求書、相続人の本人確認書類、法定相続情報一覧図か、相続関係が分かる戸籍など、亡くなった方の住所の確認書類。すべてコピーで出し、返却はされません
  • 費用:相続人が請求する場合1件7,700円(税込)。法定相続情報一覧図のコピーを出すと、6,050円(税込)。結果が代金引換で届き、受け取るときに支払います。口座が見つからなかった場合もかかります
  • 日数:書類を受け付けてから結果が届くまで、2か月ほどかかると案内されています(混み具合により変わります)。受け付けたあとの取り消しはできません
  • 困ったとき:開示請求事務センター 03-5665-3642(土日祝日・年末年始を除く10:00〜16:00)

出典:証券保管振替機構「ご本人又は亡くなった方の株式等に係る口座の開設先を確認したい場合」、同じページの「必要書類」

相続放棄を考えているなら、預金の手続きの前に専門家へ

相続放棄は、自分のために相続が始まったことを知ったときから3か月以内に、家庭裁判所に申し立てる決まりです(裁判所「相続の放棄の申述」)。親に借金があるかもしれないなど、相続放棄を考えている場合は、預金の手続きを進める前に、弁護士や司法書士に相談してください。

手続きの早見表:誰が・どこへ・何が要るか(例:PayPay銀行・楽天証券)

口座が見つかったあとの相続手続きを、ネット銀行とネット証券の例で並べました。出典はPayPay銀行「相続のお手続き」と楽天証券「相続のお手続き」です。

PayPay銀行楽天証券
何をする口座を解約して、預金を払い戻してもらう株や投資信託を、相続人の口座に移してもらう(名義の変更)
誰が法定相続人・受遺者・遺言執行者・相続人代理人の士業の方(相続受付フォームの案内)相続人本人。司法書士などの代理人もできる(委任状などが必要)。株などを受け取る人は、楽天証券の口座が必要
どこへ公式サイトの「相続受付フォーム」。そのあと届く書類を郵送で返す公式サイトの「相続WEB受付」(スマホかPC)。そのあと届く「相続手続依頼書」を返送する
いつまでに公式に期限の記載なし公式に期限の記載なし
何の書類亡くなった方の戸籍謄本のコピー(出生から死亡まで続いたものが必要な場合あり)、相続人の印鑑登録証明書(発行から6か月以内の原本。相続人全員分が必要な場合あり)。法定相続情報一覧図の写しがあれば戸籍謄本はいらない。場合によって遺産分割協議書のコピーなども(必要書類のページ)亡くなったことがわかる戸籍(全部事項証明)か法定相続情報一覧図の写し、相続人の印鑑登録証明。公的な書類はコピーで提出する(原本を出すと返ってこない)
いくら手続きの手数料は公式に記載なし。残高証明書や取引明細を希望すると1通880円手続きの手数料は公式に記載なし
どのくらい・困ったときフォームの受付から書類が届くまで約5営業日。返送した書類が届いてから約2週間で、解約・払い戻し。商品によっては書類のやり取りが何回か必要になり、時間がかかる場合がある。手続きは日本国内から・日本語のみ書類を受け取ってから、手続きが終わるまで2週間程度。書類の不備が多いと案内されていて、不備があると完了が遅れる

戸籍謄本は1通450円、除籍謄本は1通750円です(例:大阪市「証明書交付手数料一覧」)。法定相続情報一覧図の写しは、無料で交付されます(下の章で説明)。

口座が見つかったら、まず金融機関の相続の窓口に連絡する

手続きの細かい流れは金融機関ごとに違いますが、多くは次のような順番で進みます。

  1. 金融機関の相続手続きの窓口(専用フォームや電話)に連絡する
  2. 案内された書類をそろえて提出する
  3. 金融機関が確認し、払い戻しや名義の変更を行う

PayPay銀行は、相続受付フォームから連絡する

PayPay銀行は、公式サイトの「相続受付フォーム」から連絡し、そのあと届く書類を必要書類とあわせて返送する流れです。亡くなった方の口座は、特定できしだい取引が止められます(PayPay銀行「相続手続き」)。

楽天証券は、ウェブ窓口から申し込む。相続する人にも口座が要る

楽天証券は、相続手続きのウェブ窓口から申し込むと、手続きの書類が送られてきます。株式などを相続する人は、楽天証券の口座を持っている必要があります(楽天証券「相続のお手続き」)。

楽天証券の案内では、書類を確認したあと、相続人が亡くなった方の口座を閲覧できる専用のIDが発行され、残高や取引の履歴を確認できるとされています。

戸籍謄本は「法定相続情報一覧図」でまとめると楽

銀行や証券会社の相続手続きでは、戸籍謄本の束を何度も求められることがあります。法務局で「法定相続情報一覧図の写し」をつくっておくと、戸籍謄本の束の代わりに使えます。最初に一度、戸籍謄本などを法務局に出す必要はありますが、一覧図の写しは無料で受け取れます(法務局「法定相続情報証明制度」)。

よくある質問

親のスマホが開けなくても、ネット銀行の口座は探せますか?

探せます。郵便物、カードの明細や通帳の入出金、マイナンバーを使った照会などから探せます。

マイナンバーの口座照会で、ネット証券の口座も分かりますか?

分かりません。照会できるのは、預貯金の口座です。ネット証券は「ほふり」に開示請求します。

マイナンバーを使った口座照会は、いくらかかりますか?

5,060円(税込)です。どの金融機関でも同じ金額で、口座が見つからなかった場合もかかります。

ほふりの開示請求は、どのくらいかかりますか?

書類を受け付けてから結果が届くまで、2か月ほどかかります。費用は、相続人が請求する場合1件7,700円(税込)です。

楽天証券の株を相続するには、自分の口座も必要ですか?

必要です。株式などを相続する人は、楽天証券の口座を持っている必要があります。

まとめ:まずは口座があるかを知るところから

  • ネット銀行は、郵便物・明細・マイナンバーを使った照会から、ネット証券は、郵便物や明細、ほふりへの開示請求から探せる
  • 見つかったら、各社の相続手続きの窓口に連絡し、案内に沿って書類を出す
  • 法定相続情報一覧図をつくっておくと、何社も手続きするときに楽になる

まずは、親御さんあての郵便物の中に、銀行や証券会社からのものがないか、1か所に集めてみてください。全体の手続きの順番は親の死後にやること全リストにまとめています。

今日できる一歩

親御さん宛ての郵便物の中から、銀行や証券会社の名前が入った封筒を探してみてください。

手続きの方法は変更されることがあります。最新情報は必ず各社の公式サイトでご確認ください。

ご家族と共有する
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

テクニカルサポートのコールセンターに10年以上携わり、1日数十件・延べ数千件のお問い合わせに対応してきました。セキュリティソフト(McAfee)で3年、モバイルWi-Fi(WiMAX)で2年。その後は、パソコンのセキュリティ、WordやExcel、年賀状ソフト、プリンターまで、ご年配のお客様の「分からない」に電話でひとつずつ付き添ってきました。私自身は古着販売を行うため、古物商の許可も持っていますが、遺品の買取は行っていません。
今も、70代半ばの父からスマホやパソコンのことをよく聞かれます。そして私も、母を見送った家族のひとりです。このサイトでは、各社の公式情報で確認したことを、同じ立場の家族としてお届けします。

コメント

コメントする

目次