親が亡くなったら健康保険・介護保険はどうする?保険証の返し方と「葬祭費・埋葬料」の申請

健康保険の手続きと葬祭費・埋葬料

親が亡くなると、親の健康保険と介護保険の資格はなくなり、保険証(資格確認書)などを返す手続きが必要になります。葬儀のあとに申請すると受け取れるお金もありますが、どこに何を出すかは、親が入っていた保険の種類によって変わります。

結論からお伝えすると、手続き先は、親が入っていた健康保険の種類で決まります。国民健康保険と後期高齢者医療制度なら、親が住んでいた市区町村の窓口です。会社の健康保険なら、まず勤め先に連絡します。資格をなくす届け出は勤め先がしますが、埋葬料の申請先は、加入していた健康保険によって違います。

あわせて、国民健康保険・後期高齢者医療制度からは「葬祭費」、会社の健康保険からは「埋葬料」が、申請すると支給されます。申請の期限はどちらも2年なので、葬儀が終わって少し落ち着いてからでも間に合います。(数え始めは、葬祭を行った日の翌日や、亡くなった日の翌日など、制度によって違います。)保険証にあたる資格確認書の返却や届け出は、14日以内としている自治体もあるので、こちらは先に済ませておくと安心です。

この記事では、保険の種類の見分け方、資格確認書などの返し方、介護保険の届け出、葬祭費と埋葬料の違い、高額療養費が戻る場合の申請をまとめました。

目次

まず確認:親が入っていた健康保険はどれ?

最初に、親がどの健康保険に入っていたかを確かめます。親の「資格確認書」や「資格情報のお知らせ」、以前の保険証があれば、そこに書かれた保険の名前で分かります。

横浜市の案内では、75歳になると、自動的に後期高齢者医療制度に加入するとされています(生活保護を受けている方などは対象外)。親が75歳以上だった場合は、まず後期高齢者医療制度だと考えて確かめてみてください。

保険の種類主に入っている人手続き先受け取れるお金
後期高齢者医療制度75歳以上の方。65〜74歳で一定の障害があると認定された方も入れる親が住んでいた市区町村葬祭費
国民健康保険75歳未満で、会社の健康保険やその扶養に入っていない方親が住んでいた市区町村葬祭費
会社の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)会社に勤めている方と、その扶養に入っている家族勤め先(事業主)と、加入している健康保険埋葬料・埋葬費・家族埋葬料(条件による)

親が、子どもの勤め先の健康保険の扶養に入っていた場合は、手続きをするのは子ども側の会社です。このケースは、あとの「会社の健康保険の場合」で説明します。

手続きの期限や、返すもの、窓口の名前は自治体によって違います。この記事で挙げる例は参考にして、親が住んでいた市区町村の案内もあわせて確かめてください。

親が入っていた健康保険の見分け方(後期高齢者医療制度、会社の健康保険、国民健康保険)

先に済ませること・あとでいいこと

この記事で説明する手続きを、時期で分けると次のようになります。期限は横浜市・柏市・協会けんぽなどの例なので、親が住んでいた自治体や加入していた保険の案内もあわせて確かめてください。

時期やること
死亡届のあと、早めに健康保険の届け出と、資格確認書などの返却(国民健康保険は横浜市で14日以内)。会社の健康保険なら勤め先に連絡
同じころ介護保険の届け出と、被保険者証などの返却(柏市で14日以内)
葬儀のあと、2年以内葬祭費・埋葬料の申請。返却の手続きと同じ日にできる窓口もある
案内が届いたら(申請は診療月の翌月1日から2年以内)高額療養費の申請(相続人の代表者が申請)

資格確認書などの返却と、資格をやめる届け出

厚生労働省によると、これまでの健康保険証は、2025年12月1日をもってすべて有効期限が切れました。今は、マイナ保険証か「資格確認書」で受診するしくみです。

マイナ保険証を使っていた方には、保険の情報を知らせる「資格情報のお知らせ」という書類が届いています。親の手元に資格確認書や資格情報のお知らせがあれば、届け出のときに返します(返すものは、加入していた保険によって違います。たとえば協会けんぽでは、資格情報のお知らせは返さなくてよいと案内しています)。

国民健康保険の場合

横浜市では、国民健康保険の加入者が亡くなったときは、14日以内に区役所の保険係へ届け出るよう案内しています。期限や窓口の名前は自治体ごとに違います。大阪市のように、死亡届を出していれば国民健康保険への届け出はいらない(資格確認書は返す)自治体もあるので、親が住んでいた市区町村の案内を確かめてください。

横浜市の場合、持っていくものは次のとおりです。

  • 窓口に行く人の本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証・パスポートなど)
  • 死亡を証明するもの(死亡診断書の写し)。死亡届の処理がすでに終わっていれば不要
  • 資格確認書(持っている場合)

後期高齢者医療制度の場合

横浜市の案内では、後期高齢者医療制度に入っていた方が亡くなったときは、先に死亡届の手続きを済ませるよう書かれています。そのうえで、亡くなった方の資格確認書か資格情報のお知らせを区役所に返します。

亡くなったあとも、親あての通知が届くことがあります。横浜市では、送り先を変えたい場合は区役所の保険係に相談するよう案内しています。届いた通知は捨てずに、ひとまとめにしておくと安心です。あとで説明する高額療養費の案内が届くこともあるためです。

会社の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)の場合

親が会社に勤めていて、会社の健康保険に入っていた場合は、勤め先の会社が届け出をします。協会けんぽの案内では、会社が「被保険者資格喪失届」を日本年金機構に出し、亡くなった日の翌日が資格を失う日になります。

家族がすることは、勤め先に亡くなったことを伝え、有効期限内の資格確認書が手元にあれば、それを会社に返すことです。扶養に入っていた家族がいれば、その家族の分も返します。協会けんぽでは、2025年12月2日以降、これまでの保険証や資格情報のお知らせ、期限の切れた資格確認書は返さなくてよいと案内しています(協会けんぽ石川支部)。健康保険組合の場合は、組合の案内を確かめてください。

亡くなった親の扶養に入っていた家族(もう一人の親など)は、健康保険の切り替えが必要です。国民健康保険に入るか、ほかの家族の扶養に入るかを、早めに確かめておきましょう。

親が子どもの扶養に入っていた場合は、子どもが自分の勤め先に伝えます。会社が「被扶養者異動届」を出し、亡くなった日の翌日で扶養から外れます。健康保険組合の場合は、組合ごとの案内も確かめてください。

介護保険の資格喪失の届け出

健康保険の書類と一緒に、介護保険の被保険者証が見つかることもあります。介護保険は、健康保険とは別に届け出が必要です。

介護保険は、65歳以上の方が「第1号被保険者」として入っています(40〜64歳で医療保険に入っている方も「第2号被保険者」として入っています)。親が65歳以上だった場合は、健康保険とは別に、介護保険の届け出も必要です。

横浜市では、介護保険の被保険者が亡くなったときは届け出が必要で、窓口は区役所の保険年金課です。郵送での届け出や、マイナンバーカードを使った電子申請もできると案内しています。

千葉県柏市では、被保険者が亡くなったときは14日以内に届け出るよう案内しています。柏市で返すものは次のとおりで、郵送での返却もできます。

  • 介護保険の被保険者証
  • 負担割合証(持っている場合)
  • 介護保険負担限度額認定証(持っている場合)

期限や返すものは自治体ごとに違います。国民健康保険や後期高齢者医療制度の手続きと同じ日に、市区町村の窓口で聞いてみると一度で済みやすくなります。

葬祭費と埋葬料:申請すると受け取れるお金

「葬儀のあとに戻ってくるお金」とよく言われるのが、葬祭費と埋葬料です。どちらも、待っていても自動では振り込まれません。申請してはじめて受け取れるので、葬儀の領収書や会葬礼状は捨てずに取っておいてください。

葬祭費と埋葬料のちがい

項目葬祭費埋葬料(協会けんぽの場合)
出すところ国民健康保険・後期高齢者医療制度(市区町村が窓口)会社の健康保険
受け取れる人葬祭を行った人(喪主)亡くなった方に生計を維持されていた人。いない場合は、実際に埋葬を行った人(埋葬費)
金額自治体で違う(例:横浜市5万円、目黒区の後期高齢者医療7万円)5万円(埋葬費は5万円までの実費)
申請の期限葬祭を行った日の翌日から2年亡くなった日の翌日から2年(埋葬費は埋葬した日の翌日から2年)

申請の流れを、7つのポイントで並べるとこうなります。葬祭費は横浜市の国民健康保険、埋葬料は協会けんぽの例です。

葬祭費(例:横浜市の国民健康保険)埋葬料(例:協会けんぽ)
何をする葬祭費の支給を申請する埋葬料の支給を申請する
誰が葬祭を行った人(喪主)亡くなった方に生計を維持されていた人(いない場合は、埋葬を行った人が埋葬費を申請)
どこへ亡くなった方が住んでいた区の区役所保険年金課(申請する人の住所ではない)加入している協会けんぽの支部へ郵送、または電子申請(相続人として申請する場合は郵送)
いつまでに葬祭を行ってから2年で時効亡くなった日の翌日から2年で時効(埋葬費は埋葬した日の翌日から2年)
何が要る申請する人の本人確認書類、喪主だと分かる書類(葬儀の領収書・請求書・会葬礼状など)、振込先の通帳など健康保険埋葬料(費)支給申請書、勤め先による死亡の証明(受けられないときは埋葬許可証・火葬許可証のコピーなど)、生計を維持されていた人が申請するなら住民票
いくら受け取れるのは5万円。申請の手数料の記載はなし受け取れるのは5万円。申請の手数料の記載はなし
かかる日数支給までの日数は、横浜市の案内に記載なし審査で支払いが決まれば、受付日から10営業日以内

出典:横浜市「葬祭費」、協会けんぽ「健康保険埋葬料(費)支給申請書」

葬祭費と埋葬料のちがい

葬祭費(国民健康保険・後期高齢者医療制度)

葬祭費は、国民健康保険や後期高齢者医療制度に入っていた方が亡くなったとき、葬祭を行った人(喪主)に支給されます。金額は自治体ごとに決まっていて、同じ制度でも住んでいた場所で変わります。

例として、2つの自治体の案内を並べます。

自治体・制度金額申請の期限・窓口
横浜市・国民健康保険5万円葬祭を行ってから2年で時効。亡くなった方が住んでいた区の区役所保険年金課
横浜市・後期高齢者医療制度5万円葬祭を行った日の翌日から2年で時効。亡くなった方が住んでいた区の区役所保険年金課
目黒区・後期高齢者医療制度7万円葬祭日の翌日から2年以内。区役所の窓口のほか、オンライン・郵送でも申請できる。内訳は東京都後期高齢者医療広域連合から5万円、目黒区から2万円

申請の窓口は、申請する人の住所ではなく、亡くなった親が住んでいた市区町村です。実家が遠い場合は、郵送やオンラインで申請できるかを確かめてみてください。

横浜市の後期高齢者医療制度の場合、申請に必要なものは次のとおりです。

  • 申請書(市のサイトからダウンロードするか、区役所でもらう)
  • 亡くなった方の資格確認書か資格情報のお知らせ(返却済みなら不要)
  • 振込先の預金通帳
  • 喪主と亡くなった方の名前、葬祭の日が分かる書類(会葬礼状や葬儀の領収書など)
  • 喪主の印かん(朱肉を使うもの。喪主以外の口座に振り込む場合などに必要)

なお、横浜市の国民健康保険の案内では、亡くなる前の3か月以内に会社の健康保険に本人として入っていたなど、一定の条件に当てはまる場合は、以前の健康保険から埋葬料が出るとしています。退職して間もなかった場合は、以前の健康保険にも確かめておくと安心です。以前の健康保険から出る場合は、今の保険からは葬祭費が出ないと案内している自治体もあります(目黒区の後期高齢者医療制度)。

埋葬料(協会けんぽなど会社の健康保険)

協会けんぽでは、仕事以外の理由で被保険者が亡くなったとき、生計を維持されていた人に「埋葬料」として5万円が支給されます。生活費の一部を支えられていれば足り、同じ世帯かどうかは問われません。

生計を維持されていた人がいない場合は、実際に埋葬を行った人に「埋葬費」が出ます。金額は5万円までの範囲で、霊柩車代・火葬料・僧侶へのお礼など、実際にかかった費用です。

親が子どもの扶養に入っていた場合は、子ども(被保険者)が申請すると「家族埋葬料」として5万円が支給されます。親が子どもの扶養に入っていたなら、自分の会社の健康保険に問い合わせてみてください。

協会けんぽの申請書のページによると、申請の期限と出し方は次のとおりです。

  • 期限:埋葬料・家族埋葬料は亡くなった日の翌日から2年、埋葬費は埋葬した日の翌日から2年で時効
  • 申請書:「健康保険埋葬料(費)支給申請書」
  • 出し方:加入している協会けんぽの支部へ郵送するか、電子申請(相続人として申請する場合は電子申請できず、郵送)
  • 主な添付書類:会社による死亡の証明。証明を受けられないときは、埋葬許可証・火葬許可証のコピーや死亡診断書などのいずれか(申請する人によって必要な書類が変わります)

退職後に亡くなった場合でも、資格を失ってから3か月以内に亡くなったときなどは対象になります。また、会社が資格喪失の届け出を終えてから支給されるしくみです。健康保険組合の場合は、金額や書類を組合の案内で確かめてください。

高額療養費が戻る場合の申請

亡くなる前に入院していたなどで医療費が高くなっていた場合、保険診療の自己負担が限度額を超えた分が、「高額療養費」として戻ることがあります。差額ベッド代など、保険がきかない費用は対象になりません。保険によっては、親が亡くなったあとに新しく支給が決まった場合、相続人の代表者が申請するしくみです。生前に振込口座を登録していた場合は、その口座に振り込まれることもあります。

例えば東京都の後期高齢者医療制度では、板橋区の案内によると、診療した月から約4か月後に、東京都後期高齢者医療広域連合から申請書が届きます。申請するのは、相続人の代表者です。

板橋区の場合、必要なものは次のとおりです。

  • 高額療養費の支給申請書
  • 相続人代表者届出書兼申立書
  • 相続人であることが分かる書類(戸籍、遺言公正証書、法定相続情報一覧図のどれか1つ)。代表者が、住民票で同じ世帯の配偶者か子の場合は省略できる

出してから支給まで、1〜2か月ほどかかると案内されています。書類や流れは保険や自治体で違うので、届いた案内は捨てずに、書かれた窓口に確かめてください。

高額療養費にも、申請の期限があります。板橋区や協会けんぽの案内では、診療月の翌月1日から2年です。案内が届かなくても、亡くなる前の医療費に申請していないものがないか、加入していた保険に確かめておくと安心です。

なお、相続放棄を考えている場合は、申請の前に弁護士や司法書士に相談しておくと安心です。相続放棄は、相続の開始を知ったときから3か月以内に、家庭裁判所に申し立てる決まりです(裁判所「相続の放棄の申述」)。

年金や世帯主の変更など、ほかの手続きも含めた全体の流れは、親の死後にやること全リスト【デジタル手続き優先順位つき】にまとめています。

まとめ:まずはどの保険に入っていたかを確かめるところから

  • 手続き先は、親が入っていた健康保険の種類で決まる。75歳以上なら後期高齢者医療制度で、窓口は親が住んでいた市区町村
  • 国民健康保険・後期高齢者医療制度は、市区町村で届け出や資格確認書などの返却が必要かを確かめる。会社の健康保険は、まず勤め先に連絡する
  • 65歳以上だった場合は、介護保険の届け出と被保険者証の返却も必要
  • 国民健康保険・後期高齢者医療制度からは葬祭費、会社の健康保険からは埋葬料が、申請すると支給される。期限はどちらも2年
  • 亡くなったあとに高額療養費の支給が決まった場合は、相続人の代表者が申請する

まずは、親の資格確認書か資格情報のお知らせを探して、どの健康保険に入っていたかを確かめてみてください。

見当たらなければ、保険料の通知など、保険から届いた郵便でも分かります。葬儀の領収書や会葬礼状も、葬祭費や埋葬料の申請で使うので、同じ封筒にまとめておくと手続きが進めやすくなります。

この記事が、少しでもお役に立てば幸いです。

健康保険・介護保険の手続きの方法や、葬祭費・埋葬料の金額は変わることがあります。最新情報は必ず、親が住んでいた市区町村や、加入していた健康保険の公式サイトでご確認ください。

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この記事を書いた人

テクニカルサポートのコールセンターに10年以上携わり、1日数十件・延べ数千件のお問い合わせに対応してきました。セキュリティソフト(McAfee)で3年、モバイルWi-Fi(WiMAX)で2年。その後は、パソコンのセキュリティ、WordやExcel、年賀状ソフト、プリンターまで、ご年配のお客様の「分からない」に電話でひとつずつ付き添ってきました。私自身は古着販売を行うため、古物商の許可も持っていますが、遺品の買取は行っていません。
今も、70代半ばの父からスマホやパソコンのことをよく聞かれます。そして私も、母を見送った家族のひとりです。このサイトでは、各社の公式情報で確認したことを、同じ立場の家族としてお届けします。

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